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Scandinavian Pattern Collection 北欧デザイナーたちによるデザインコレクション

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キャラクタービジネスに初めて関わったのは、平成元年のことです。絵本の出版社に勤めていた私は、30ページ程度の小さな絵本が、「権利」を持つ、という強みによって世界中に広がり、想像もしなかったプロダクトへと形を変えて人々の生活の中に浸透していく、というビジネスモデルの楽しさに虜になり、気づくと30年以上が経っていました。「あれもこれもやってみたい」という欲張りな性格、「失敗は改善するチャンス」と割り切ってしまう楽天的な性格のおかげで、時にはライセンスビジネスという垣根を越えて、いろんなことを、いろんな立場で経験してきました。コンテンツを創る立場、その権利を許諾する立場、コンテンツを使って商品を企画する立場、売る立場、ブランド価値について教育する立場、そして、消費する立場、母親として子どもに買い与える立場・・・等々、さまざまな機会に多くの人たちと出会い、支えていただきながら、ゴールの見えない広いフィールドの中を突っ走ってきました。

ライセンスビジネスを始めたころ、私にとって、権利は「武器」でした。自分たちを守り、ビジネスを生むための武器。武器を持つことで、領土を広げ、他社を凌ぐマーケットリーダーになることが、最終的なゴールだと思っていました。一方で、武器をうまく使うことができずに、ジレンマやコンプレックスを感じる場面も多々ありました。

30年経った今、「権利」に対する私の意識は大きく変わりました。それは、30年の間に徐々に変わってきたのかもしれませんが、私の価値観を大きく変えてくれたのは、北欧の人々との出会いでした。 北欧は、今や世界一幸福度の高い国として注目されていますが、人々の生活はとてもシンプルで、それほど贅沢なものではありません。でも、毎日の生活のなかでFIKA(フィーカ)というコーヒータイムを楽しんだり、暗く厳しい冬の自然と共存しながら、春の光に太陽の恵みを感じたり、というシンプルな幸せがたくさんあります。そして、一人ひとりの発想で心地よい暮らしを作っていく、クリエイティブマインドにも、いつも驚かされます。

今や、私にとっての「権利」は、一杯のコーヒーのようなものです。私は、近年のカフェブームがあまり好きではありませんが、たしかにカフェでコーヒーを飲みながら仲間や友人と話すとき、なぜかメールや携帯電話で話をするのとは異なる気持ちになれます。時には、美味しいコーヒーの魔力で、戦闘モードだったタフな交渉が信頼の笑顔へと変化することもあります。

私の意識のなかで、「権利」は一杯のコーヒーへと変化していきました。「権利」といっても、子ども向けのキャラクターからスポーツブランド、ファッションブランドまで、その種類はさまざまです。でも、そのコンテンツによって、幸福感、高揚感、美しいと感じる気持ち・・・、それまでにはなかった価値が生まれます。それが、権利ビジネスのゴールだと感じるようになりました。

コーヒー一杯の小さな幸福のように、北欧のデザインやブランドを通して、皆さまに小さな気づきを感じてほしい、そして長期的な信頼関係を築き、気持ちを共有しながら共にゴールまで走り続けたい、という思いによって、私たちの事業内容は、ライセンスビジネスから、北欧全般のビジネスへと変化してきました。2014年には、プラスライセンス&デザインTOKYOから、アンドフィーカという社名に変更しました。北欧のFIKAの時間のように、皆さまにとって心地よい会社でありたいと思っています。

 
 

■代表者プロフィール

兵庫県神戸市出身。上智大学文学部英文学科卒業。法政大学大学院経営学専攻 マーケティングコース修了。 京都造形芸術大学デザイン科卒業。 大学卒業後、福音館書店での11年の勤務において、絵本の編集、海外版権売買、 著作権管理業務の経験をしたのち、ピーターラビット、スヌーピー等のキャラクターをはじめ、スポーツブランド、映画プロパティ等、幅広いライセンスビジネスに携わる。もっとも得意とする分野は、3つの専門領域(英語、デザイン、ブランドマーケティング)をミックスした、クリエイティブアプローチによるブランドマーケティング。 LIMAジャパン(一般社団法人日本ライセンシング・ビジネス協会)元代表理事 Licensing International Japan 理事 経営学修士(MBA) & 芸術学修士 日本マーケティング学会会員